





今回の展覧会は、ベーコンにとって最も重要なテーマであった「身体」に着目しています。
バレエダンサーであり芸術監督も務める熊川さんは「身体」についてどのようにお考えですか?
僕はバレエダンサーとして「最高の芸術とは何なのだろう?」と常に考えていて、今では人間の身体に勝る芸術はないと確信しています。人間が作った造形物は後付けの美しさですが、バレエの世界を具現化するバレリーナの身体は “美”そのもの。ベーコンもヒューマンボディこそ芸術というところに行き着いて、それを具現化しようとしたのではないでしょうか。


本展のエピローグでは、ベーコンの絶筆にインスパイアされてウイリアム・フォーサイスが自ら振付をして踊った映像インスタレーションも公開されます。
フォーサイスというアプローチは面白いですね。ベーコンの作品の中にある暴力性や根拠のない一貫性はフォーサイスの世界観と一致するように思います。フォーサイスの踊りも一見滅茶苦茶にみえますが実は計算し尽くされている、もしくは逆に計算し尽くされているように見えるのに全く根拠のない偶然の一致だったりする。フォーサイスとベーコンの二人が表現しようとしていることには同一性が確かにある気がします。
熊川さんもフォーサイス作品を踊られたことがあるそうですね。
3作品くらい踊りました。フォーサイスとはビリーとテディの間柄でしたからね(笑)。彼の作品はアヴァンギャルドで動きもすごく前衛的。ロイヤル・バレエ団は当時古典的なものしかやっていませんでしたから、我々はフォーサイスのような現代舞踊に多く使われる“斜の動き”をトレーニングしていませんでした。また、バレエではいかにバランスよくポジションをとるか、足や腕のラインをまっすぐに美しく見せるかが重要でしたから、フォーサイス作品を踊った時は苦労した思い出があります。フォーサイスにはもう何年も会っていませんが、この展覧会で久しぶりに彼の作品が見られるのはすごく楽しみですね!





熊川哲也 KUMAKAWA TETSUYA
北海道出身。10歳でバレエを始め、15歳で英国ロイヤル・バレエスクールに入学。89年にローザンヌ国際バレエ・コンクールで日本人初のゴールド・メダルを受賞。同年、東洋人として初めて英国ロイヤル・バレエ団に入団し、史上最年少でソリストに昇格。93年、プリンシパルに任命される。98年に英国ロイヤル・バレエ団を退団。翌年、Kバレエ カンパニーを創立。既存のバレエ公演のイメージを変える圧倒的な完成度の作品を制作し続け、自身の演出/再振付による「ジゼル」「白鳥の湖」「ドン・キホーテ」「海賊」「ロミオとジュリエット」など、古典全幕作品を数多く芸術監督として送り出し、上演・主演している。
2012年1月、Bunkamuraオーチャードホール初代芸術監督に就任。就任記念として上演された新作「シンデレラ」は世界初演にして全公演完売の大成功をおさめた。
2013年3月6日(水)~10日(日)は待望の再演となる『シンデレラ』をBunkamuraオーチャードホールで上演。2013年4月11日(木)~20日(土)には『ベートーヴェン 第九、他新作二作品』をBunkamuraオーチャードホールと、大阪フェスティバルホールにて上演予定。
公演詳細は http://k-ballet.co.jp から。